当局は犯罪捜査の必要上というが、憲法以下現在の法体系をどう解釈すれば5千万国民のプライバシー侵害を合法と解釈できるのか。
1.当局は肖像権は侵してないというが、CCDカメラにより撮影した車両前面のイメージデータには、当然運転者/助手席の人物像も含まれ得る。
当局によれば、利用するのはイメージデータから認識処理部(個別本体コンピュータ)で認識したナンバープレートの文字数字の、いわゆるテキストデータのみと主張するが、残余のイメージデータを消去し保存を不可能としているというならプログラムの詳細と保障措置について、すべての機種にわたって明らかにすべきである。
2.当局は肖像権侵害のクリアにのみ神経をついやしているようであるが、肖像権以外にも以下の論拠によりプライバシー侵害の違法性は明確である。
車両は所有者を容易に特定し得る。まして個人所有の自家用車は当該車両と運転者の特定は容易である。その意味で、車両は極めて属人的である。したがってNシステムの機能が、外形的には「どの車両が、いつ、どこを通過したか」を追跡することのようであっても、警察の情報統合力をもってすれば瞬時に「誰が、いつ、どこを」に変わるのである。実態として国民の移動の自由へのあからさまな干渉である。
3.当局はデータの保存管理はしていないというが、これの虚言は既に破 綻している。特に広域捜査に必須のものとなっている現在、個別の事件の捜査状況の発表及び公判においてその運用は明らかとならざるを得まい。国民に嘘をつくことの責任をどう考えているのか。
4.いかに捜査上の秘密を言い立て、情報開示を拒絶しても、当局 の行為は自由主義を標榜する法治国家・民主主義への重大な挑戦以外の何物でもない。
成人国民の過半である5、000万人の自動車免許保有者の車による移動を監視すれば、警察権力として、こんな便利なことはないでしょう。
通常の民主主義国家では許されないことも「由(よ)らしむべし、知らしむべからず」の論理で平然と押し通してこられたのです。
犯罪だの検挙だのという一般国民が抗し得ない、そして他人事としか感じられない言葉をふりまわすことによって、犯罪となんら関係のない国民をも監視することを
(警察内部では)合理化しています。
さらに情報開示という権力の恣意暴走の歯止めからも、自分たちは除外されて当然とすら思っています。
国民・納税者は、日本警察をこのようなおぞましい姿にしたままではいけません。
警察当局は、国民を敵視し欺く秘密警察的な発想をやめ、自由主義国家・民主主義国家の行政機関としての最低限のルールである情報開示義務を直ちに履行しなさい。

政府はシステムの全容及び詳細を運用部門から報告させ、同時に証拠保全を厳命することを求める。

  1. 国会が衆参両院に調査特別委員会を設置することを求める。
    下部組織としてシステムの専門家を含む作業部会も併設する。
  2. 特別調査委員会は安全保障上の必要がある内容のみ秘密会として、政府提出資料の審議及び関係官僚等を証人喚問し、詳細を審議する。
    違法行為が認められたときは関係者を処断する。可能な限り国民に情報を公開する。
  3. 国会においてなおNシステム設置の必要性が認められたときは立法措置によりその濫用を規制する。