櫻井光政弁護士が日弁連の機関誌『自由と正義』に発表した「日本型公設弁護人事務所の開設に取り組む」の「事務所の具体的イメージ」です。

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日本型公設弁護人事務所の開設に取り組む

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事務所の具体的イメージ

日本型公設弁護人事務所設立の構想は、先に述べたとおり、刑事弁護のエキスパートで構成し、日弁連や単位弁護士会から刑事事件の斡旋を受けてその処理に当たり、或いは日弁連の要請を受けて弁護士数が不足する地域への一定期間の人員派遣を可能にするような事務所を新たに作ろうとするものであるが、そのイメージの詳細は次の通りである。

人的構成

登録後五ないし10年以上の刑事事件の経験を積んだ弁護士が事務所の中核となる。そのようなメンバーが複数いればなお望ましい。この中核メンバーが若手の指導、育成、監督にあたる。できれば当初はこの中核メンバーが単位会或いは日弁連の刑事弁護委員会(センター)に所属していることが望ましい。また、制度確立後も事務所から一名以上は刑事弁護委員会(センター)にメンバーを送ることが必要であろう。この事務所は若手の弁護士を継続的に採用する。この点は各事務所の経済状態等により必ずしも毎年新人を採用しなければならないとは言えないが、継続的に過疎地に弁護人を送るためにはたとえ隔年或いは2、3年おきにでも、継続的な採用が不可欠である。

公設弁護人事務所(以下事務所という)に就職した弁護士は、登録後半年ないし一年間事務所で刑事事件のトレーニングを受ける。この間は単位会の刑事弁護委員会或いは日弁連のセンターから要請のある刑事事件を中心に行う。トレーニングを終了した者は、センターの要請があれば地方の派出事務所で2ないし3年勤務する。新人の採用は、当初は各事務所が全く私的に募集することになるが、ゆくゆくは毎年一定数を単位会や日弁連のセンターで募集し、公設弁護人としてセンターに登録するような制度が望ましいと考える。その場合は、地方派遣の兼ね合いから、採用期間は3年間とし、更新できるものとする。公設弁護人事務所で勤務を継続するか、一般弁護士としての活動を行うかの選択は3年毎に行えるようにする。地方派遣から帰った弁護士は元の事務所に帰るのが原則であるが、強制はされない。復帰が保証されているということである。

日常の業務

日本型公設弁護人事務所とは言え当初は公的な費用の援助も期待できないので、経営は専ら当該事務所の自主努力によることになる。また、個々の弁護士にとっても、刑事事件に熱心に取り組みたいと考えている弁護士が必ずしも民事事件に携わりたくないと考えているわけではないこと、その他我が国の弁護士の通常の業務の形態などを勘案すると、事務所としては当面刑事事件のみに特化することはできず、また、そうすべきでもないと思われる。むしろこれまでの過疎地において相談活動強化の一翼を担うなどの、日本型公設弁護人事務所に相応しい取り組みを検討したい。もちろんセンターや単位会の要請に応えられなければ意味がないから、要請にこたえることを優先させるべきことは事務所の所是となし、場合によっては刑事事件の比率を一定比率以上に保つことと定めるなどの工夫が必要であろう。

派出事務所

当番弁護士制度の運用に困難を抱えている地方に派出事務所を作る。当面の設置候補は釧路方面であると思われるが、これに関しては早急に調査を行い、どの地域で年間どれくらいの事件が処理に困難を来す見通しか明らかにしたい。その上で派遣先の優先順位を決める必要がある。経験的には困難な地方であればあるほどわずかな人員の常駐で問題を解決できるようである(要するにそのような地方の問題は往々にして常駐している弁護士が一人もいないことに起因しているようである)。派出事務所の性格を個々の公設弁護人事務所の支所的な事務所とするか、各地方単位会の事務所としてそこに公設弁護人事務所が人員を配置することになるのかはいずれでもよいと考えるが、派出事務所を受け入れる地方単位会の意向を第一に尊重すべきである。場合によっては刑事弁護センターの派出事務所として、そこに公設弁護人事務所が人材を派遣すると言うことでも差し支えない。なお、この点は弁護士法20条との関係を踏まえて対応する必要があり、事務所の名称等について検討を要する。

コスト

公設弁護人事務所の費用については、少なくとも地方派遣の費用に関しては、将来的には何らかの公的費用による援助がなされるべきである。しかしながら事務所の開設当初においては相当部分ないし全額を当該事務所の自助努力によって賄わなければならない。なお、費用については公費をもって賄うべきであるという観点から、事務所を開設した場合に具体的にかかる費用については全て公開できるようにして、スムーズに公的援助を得られるよう、会計処理も万全を期することが必要である。

費用の試算に関しては、もとより経済的な利潤追求の期待出来ない事業であるためにコストはなるべく低く押さえるべきであるが、いやしくも新人弁護士が制度の犠牲になるようなことは避けなければならない。そこで経費のうち主要部分を占める人件費は次のように考える。

新人弁護士の売上保証を初年度700万円とする。これは給与でなく、売上げの保証である。そのうち三割を経費と見て、500万円弱を所得とした。センターからの要請事件、その他の国選、及び事務所事件、個人事件の売上総額が700万円に満たない場合、その不足分を事務所が援助する。売上総額が700万円を超えたときは援助しない。また、超過分は翌年に繰り越し計算されない。従って初年度1000万円売上げても翌年度500万円の売上げしかなければ200万円の援助を受けられることになる。起訴前起訴後の国選事件や事務所及び個人の通常事件でどの程度の売上を上げることが可能かは個人差が大きいと思われるが、国選事件の比重が高まればその売上額は平準化する。専ら国選を中心とする刑事事件のみを扱う場合、売上は300万円から400万円程度と推測されるから、1人の新人弁護士に対する事務所の援助は300万円ないし400万円になると思われる。

派出事務所一個所の年間経費は約700万円である。これは、事務所賃料、光熱費及び事務員1名分の人件費である。なお、事務所開設時には一時的支出として保証金什器備品などで別途300万円程度を要すると思われる。従って既存の法律事務所が公設弁護人事務所としての活動を行うことにして、仮に2人の新人を採用して1人を過疎地に、1人を当該事務所に配置する場合の初年度経費は次の通りとなる。

派出事務所開設費 300万円
派出事務所経費 350万円
(年間700万円の初年度稼働半年分である)売上保証填補 800万円
(一名あたり年間400万円の填補が必要であるとして、その二名分である)
合計 1450万円

過疎地の一名も当初半年は当該事務所で実務につき研鑚を行うので、初年度に派出事務所が稼動するのは半年間である。また、2人の新人はセンターからの事件や国選、事務所事件などで各々年間300万円の売上を上げるものとして試算した。また、このモデルは既存の事務所が公設弁護人事務所として発足しようとする場合の最低限のコストを試算するものであるから、新人の採用により事務所の拡張が必要となった場合の賃料の上昇や、当該事務所で新たに雇用することになった事務員の給与などは計算に入れていない。その意味では実質的な負担はより大きくなるものである。そしてその負担がどれだけ大きなものになるかは、公設弁護人事務所化を目指す事務所の規模により大きく左右されると思われる。

なお、コストについては、近い将来的においては基金などを設けて対応すべきであるし、行く行くは文字どおり公的な予算を持って措置されるべき事項であると考えるが、創設段階は公設弁護人事務所独自の自助努力によらざるをえないことは再三述べている通りである。この点に関しては、今後日弁連や単位会が公設弁護人事務所の設立や派遣先事務所の設立を運動として位置づけて企業の協賛を仰ぐなどの工夫も必要ではないかと思われる。

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