櫻井光政弁護士が日弁連の機関誌『自由と正義』に発表した「日本型公設弁護人事務所の開設に取り組む」の「問題提起」です。

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日本型公設弁護人事務所の開設に取り組む

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問題提起

被疑者国選制度の必要性

被疑者段階で弁護人がつくことの重要性は検事弁護を経験した者なら誰でも理解できると思う。とりわけ起訴前の否認事件を経験した者なら、弁護人の援助なしに無実を訴えることなど到底不可能であるということに異論がないであろう。日本のように逮捕されたら23日間も身柄を拘束されるのが常態している国では、被疑者段階の弁護の充実は必要不可欠である。

発足後7年を経た当番弁護士制度は相当の成果を上げたと評価できる。しかしその利用率は徐々に上げって来てはいるものの、まだまだ不十分であるし、他方、費用の点では中小の単位会の負担は限界に近いところまで来ているとのことである。日弁連が被疑者国選の制度化を方針として打ち出したことは時宜を得たものと言えるだろう。

弁護士過疎地問題

私は一昨年の夏から日弁連刑事弁護センター(以下刑弁センターという)の事務局に加わり被疑者国公選実現に向けての議論に参加してきた。その議論の中で実現に向けての最大の障害の一つとされたのが弁護士過疎地、とりわけ支部管内に弁護士が一人もいない空白支部の問題であった。制度が実現しても肝腎の弁護士がいないことには制度が機能しない。さりとて空白地域の近隣の弁護士会はたいてい小規模会であるから、自分の管内だけでも手一杯で、とてもも空白地域のフォローまでは手が届かない。結局そのような弁護士会は、被疑者国選賛成などと無責任なことは言えないということになる。そうなると、大、中規模会の中にも、実施できない地域があるのならば制度化は時期尚早という声が出てくるのは理の当然である。この問題を解決しない限り議論は堂々巡りになるように思われた。

それでは空白地域の克服の責任は誰が負うべきか。消極論の論拠は、被疑者国選の制度化は過疎地の単位会の実情に照らして無理だというものである。この議論は過疎地の単位会及びその弁護士に対して配慮をしているように見えるが、実は空白地域克服の責任をすべて過疎地の単位会に押しつけるものである。私には、そのような前提を元に議論することこそが過疎地の単位会に対して酷なのだと思われた。過疎は過密と表裏の問題である。全国の一割の人口の都市に全国の半数の弁護士が集中していることは紛れもなく過疎の一因となっている。当番弁護士の登録状況を見ても、過疎地域では100%又はそれに近い登録率であるのに対して東京では30%弱の登録率に過ぎない。過疎の問題は、大都市の大規模単位会が率先して考えるべき課題であると考えた。

弁護の質

私のもう一つの問題意識に弁護の質の向上という問題があった。数年前に「絶望的」という表現すらなされた刑事裁判であるが、刑事裁判を「絶望的」にさせた責任の一半は弁護士にあるというのが私の持論である。刑事訴訟法は弁護人に様々な武器を与えているのに、それらの多くは活用されずにさびついてしまっている。一般的な弁護士の収入の基盤は民事事件であるから、意識的な努力をしなければ刑事弁護の技術は身につかない。勿論刑事事件に優れた力量をもつ弁護士は少なくないのだが、その技術は未だ弁護士全体の財産になっているとは言い難い。弁護修習に目を転じれば、個々の教官の熱意と献身的な努力により相当の進歩があるとは言え、様々な制約があるのか、前期及び後期の修習では白表紙起案の比重がまだまだ高いように見受けられる。他方実務修習ではややもすると刑事事件はおざなりに済まされがちである。結局のところ刑事弁護の技術は、弁護士登録をしてから力量のある先輩から学ぶしか手がないのである。それを、個人まかせにせずに、組織的にできないかという問題意識があった。

刑弁センターでの問題提起

右の諸点について解決の一方策として提唱したのが日本型公設弁護人事務所構想である。刑事弁護の経験が豊富な弁護士を中核とする事務所が新人弁護士を半年ないし1年間トレーニングし、その後2ないし3年の任期で空白地に派遣することを軸とする構想で、そのような事務所の設立を日弁連で運動として位置づけようというものであった。弁護士の空白地域への派遣は、二重事務所や登録の問題で、日弁連が承認しないことには実現できない。また、早期に空白地域を克服するためには、右のような事務所の設立を日弁連を挙げて推進することが不可欠であると思われた。日弁連の運動として取り組むことを提唱した所以である。

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